雑食エンジニアの気まぐれレシピ

日ごろ身に着けた技術や見知った知識などの備忘録的なまとめ.主にRaspberry Piやマイコンを使った電子工作について綴っていく予定.機械学習についても書けるといいな.

3DプリンタでHTC-VIVEのベースステーション用雲台を作る

こんにちは.

昨今のVRブームに(今更)流されて,HTC-VIVEを購入することにしました.
しかもpro. www.vive.com

で,このVIVEを動かすためにはベースステーションという赤外線レーダーを部屋の隅に約2mの高さに設置する必要があります.
この設置には皆さん苦労されているようですね.設置方法については,
HTC VIVEのセットアップと注意点。ベースステーションの設置方法。 | 自作パソコンdeゲーム野郎
様がいろいろとまとめてくれています.

私の部屋の場合,一つは上記記事にあるようなツッパリ棒スタイルが使えたのですが,もう一つの設置場所には使えませんでした. ただ少し厚め(約65mm)の間仕切りがあるため,ここにクランプして固定することを考えます.
ですが,どうにも市販のカメラ雲台でこの幅がクランプできて,かつ角度調整が可能なものが見つけられませんでした.
なので自作することにします.
前置きが長くなりましたが,ここからが本題です.

いきなり完成品

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こんなのつくりました.固定するとこんな感じです.
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構成としては二つに分かれており,"ボールジョイント式のカメラ雲台部分"と”クランプ部分”があります.以下はそれぞれについて解説します.

ボールジョイント部分

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ぶっちゃけ工夫したのはここだけのような...
角度調整が可能な雲台として最も作りやすそうなものがこのボールジョイント式だと思いましたので,これを採用することにします.ボールの直径は30mmとしました.構成としては以下の3部品に分かれています.

ボールジョイント上部

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ボール部分上部(表)と(裏)
ここがベースステーションとつながる部分になります.ベースステーションには通常のカメラと同様にW1/4の雌ねじが切ってありますので,それを使って固定します.
さすがに固定用の雄ねじを3Dプリンタで作りたくはないので,ボールジョイント上部に雌ねじを切り,市販のねじを通して使用します.
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W1/4の20mmねじ.こいつを埋め込みます.

発想自体はシンプルなものです
が,fusion360でW系(ウィット系)のねじはデフォルトで作成できません.
このせいで少し手間取りました.なお,ウィットねじの切り方は前回の記事にまとめてあります.
shikky-lab.hatenablog.com
前回も少し述べましたが,私の3Dプリンタではそこまで綺麗にねじを切ることができないので,金属ねじを使ってタップを切っていくような形になります.

ボールジョイント下部

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こちらは特に語ることがないですね.前述のボール上部と合わせてねじを挟み込みます.固定用の穴はφ3で,M3ねじをタッピングビスのように使って止めます.

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上下を合わせたボール.チュッパチャップスにしか見えねぇ...

ボール固定部分

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ボール固定部(表)と(裏)

微妙に複雑な形をしたこちらですが,上部の3mmだけ球状にくりぬかれています.ボール径は30mmなので10%に相当しますね.強度面の不安がありましたが,完成品をいじっている限り問題なさそうです.
手前の凸部分はボール固定用で,M4ナットを中に仕込むことができます.設計の都合で止めねじをボールの中心に当てることができなかったため,薄い板をねじとボールの間に挟むような形式にしました.

ところで,

Q.ボールに対して直径ぴったりの固定部を作って果たしてうまくいくのか?

と疑問に思う方がいるように思います.

A.もちろんうまくいきません.

まぁある程度は想定内です.がばがばすぎるのも怖かったので.紙やすりで結構やすってはめ込みました.

クランプ部分

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クランプ部分.別写真がないので再掲...
3Dプリンタならこういった造形は一体成型にすることもできますが,強度面に不安が残るため分割で作ってねじで固定することにしました.クランプ下部の板に固定用のM4ねじが貫通しています.

ボール支え面

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これはクランプのボールジョイント側の面です.球状のくぼみは3mmの厚み分えぐっており,ここにボールが触れる形になります.

クランプ下部(スペーサ)

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クランプの挟む面をつなぐ役割を持つ部品です.実質ただのスペーサですね.側面に空いている穴にM4ねじを貫通させます.
強度の都合上,穴が横向きになるように成型しました.そのため,穴がつぶれることを考慮してφ5で空けています.まぁスペーサなのでガバ穴で何の問題もないです.

クランプ反対面

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クランプ反対面(表)と(裏)
中央の穴にはM8ねじを通します.裏面にはM8ナットが仕込めるようになっています.

押し出し板

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クランプ反対面を通したM8ねじを回すと,この板が押し出されます.ここが壁と直接触れる面となりますね.本来はこの板が分離しない工夫をするべきなのだと思いますが,どうせ挟まれたら動かないので完全分離式です.

おわりに

はい,というわけで今回はカメラ雲台を作成しました.見た目はなかなか悪くないように思いますが,実際のクランプ力には若干疑問が残ります.まぁこの辺りは挟む面の素材次第だと思うので,もう少しいろいろ探してみます. あと,

VIVEはめちゃくちゃ面白いです. BEAT SABERサイコー!!!!!!

www.youtube.com
もうこれだけで元とれた感すらあります.

まぁそれはそれとして,VR系はまだまだ発展途上なので個人開発の余地が結構あるように思います.私もぜひ何かやってみたいですね.いい感じに思いついたら記事にしたいと思います.
それでは.

fusion360でウィット系のねじ穴を空ける

今回はfusion360にてウィット系のねじ穴を空ける際にひと悶着あったので,それについて書きたいと思います.

ウィットねじとは

正式名はWhitworthという規格らしいです.インチ系のねじで,W1/4とかW3/8とかをよく見ますね.実際メートルねじの次に見る気がするのですが,なぜかfusion360ではwhit規格のねじ穴を空けることができません.
ですがfusion360のねじは外部ファイルを読み込ませることで任意のねじを作成することができます.今回は1/4Wのねじ穴を空けることを目的とします.

ねじの追加方法

一応公式の説明は以下にあります.
Custom Threads in Fusion 360 | Fusion 360 | Autodesk Knowledge Network
...私の読解力が足りないのでしょうか.ずいぶん情報が足りない気がしますが,あとは勘でやっていきます.
Windowsの場合,fusion360のねじデータは以下にあります.
%localappdata%\Autodesk\webdeploy\Production\\Fusion\Server\Fusion\Configuration\ThreadData
ここにある*Thread.xmlというxmlファイルで管理されています.
ひとまず,W1/4のねじのみを記述すると以下のようになります.

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<ThreadType>
<ThreadForm>7</ThreadForm>
  <Name>WhitWorthThread</Name>
  <CustomName>WhitWorthThread</CustomName>
  <Unit>in</Unit>
  <Angle>55</Angle>
  <SortOrder>5</SortOrder>
  <ThreadSize>
    <Size>1/4</Size>
    <Designation>
      <ThreadDesignation>0-48</ThreadDesignation>
      <CTD>W1/4</CTD>
      <Class>2A</Class>  
      <TPI>20.0</TPI>
      <Thread>
        <Gender>internal</Gender>
        <MajorDia>0.25</MajorDia>
        <PitchDia>0.05</PitchDia>
        <MinorDia>0.186</MinorDia>
        <TapDrill>5.1</TapDrill>
      </Thread>
    </Designation>
  </ThreadSize>
</ThreadType>

以下,各タグについて私の解釈をつらつらと書いていきます.なぜ公式で各タグの説明がないのか.おそらく私が見落としているだけだとは思うのですが.

  • ThreadType ねじの系列の種類です.これは先のリンク先にて公式が説明しています.以下引用.

Table of ThreadType Numbers:

Number ThreadType
0 Trapezoid
1 Sharp
5 Square
7 WithWorth

...公式が誤字ってますが,ウィットねじは7です.

  • Name
  • CustomName
    いきなり謎ですが,Nameが二つあります.おそらく使われる場所が違うのだとは思いますが,どちらも同じにしておけば問題ない気もします.
  • Unit
    ねじの長さの単位です.メートルかインチかですね.メートルならmm,インチならinとなります.
  • Angle
    ねじ山の角度です.ウィットねじは55らしいです.
  • SortOrder
    謎です.おそらくこの番号の順に表示が並ぶんじゃないかと思ってます.
  • ThreadSize
    ここからねじの各サイズごとの記述になります.
  • Size
  • ThreadDesignation
  • Class
    これらはfusion360でねじを作成しようとした際の,以下の値に対応しているようです.
    f:id:shikky_lab:20180523222259p:plain
    正直ThreadDesignationとかClassとかはウィットねじにあるのかわからなかったのでコピペそのままです.
  • CTD
    謎です.正式名とか表示名とかなんじゃないかと思っていますが,どこで使わているのかもよくわかりません.
  • TPI
    1インチ当たりのねじ山の数です.W1/4は20です.
  • Gender
    雄ねじ(external)か雌ねじ(internal)かを指定します.
  • MajorDia
  • PitchDia
  • MinorDia
    ねじの最大径,ピッチ,最小径です.
  • TapDrill
    下穴径です.どうやら省略可能みたいです.

今回はW1/4の雌ねじのみが目的なのでこれだけとしましたが,同じ要領で任意のねじを増やしていけると思います.

そもそも3Dプリンタで雌ねじ切って大丈夫なん?

あんま大丈夫じゃないです!
少なくとも私の環境では,ねじを使ってタップを切り直している感覚に陥ります.
まぁそれはそれで固定力は増しそうなのでいいかなと思っていますが,するする通る雌ねじを作りたい場合は一工夫必要なんじゃないかと思います.
先ほどの要領で任意のねじ穴を定義できるので,標準の規格より少しだけ大きめに設定するとか,Slic3rの設定で穴を大きくするとかが割と有効かなと思ってます.
機会があれば今度やってみます.

ヒートベッドの温度が下がる問題への対策

前回の記事で少し触れましたが,現在3Dプリンタの駆動中にヒートベッドの温度が下がるという現象が起きています.
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準備段階では110℃まで上がるのですが,ステッピングモータが動き始めるとこのように温度が下がってしまいます.
今回はこの問題について調べてみます.

※改善はしましたが,まだ完全に治ってはいません.

原因は接触不良?

真っ先に疑ったのは配線による電力損失で,ヒートベッドのいろいろな配線を短くしてみたりしていたのですが,その際にとんでもないものを発見.
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炭化しとるやんけ......

いままでこの状態で使っていたというのはゾッとしますね.端子台に対して配線を直接つなぐ仕様になっていましたが,そのままだとダメそうです.
http://d.hatena.ne.jp/Imamura/comment/20161001
様をはじめ,調べてみると同じようなことになっている人はちらほらいるみたいです.
とりあえず私も急ぎ圧着端子を買ってきて取り換えてみます.

圧着端子を取り付けて試運転

早速取り換えて試運転してみます.心なしかヒートベッドの温度上昇にかかる時間も短くなった気がします.配線にも炭化の様子はなく,これは良さげ・・・・・・,と思いきや.
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届いとらんやんけ.

というわけで,接触不良を直したことで若干の改善はできましたが,まだまだのようです.
flsunの示すスペックとしては110℃までの出力を許容しているので,電源装置的には問題がないのだと信じています.なので,もっと太い配線などに交換すればもう少しよくなるんじゃないかと思ってます.これはまぁぼちぼちやってみようと思います.
ただ実用的な面として,ABS樹脂の造形時にヒートベッドに110℃の温度が必要なのは1層目だけな気もしてます.Slic3rでは1層目と2層目以降で設定温度を変更できるので,2層目以降を100℃に設定すれば実質そんなに問題は起こらないのかもしれません.しばらくはそれで試してみます.

フィラメントホルダーの作成

今回購入した3Dプリンタにはフィラメントのホルダがなかったので,練習がてら作成してみました.
完成品はこちらになります.

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フィラメントホルダの取り付け図

3Dプリンタで自作するフィラメントホルダというと
www.youtube.com
様のような形状のものを多く見る気がしますが,サイズ依存が強そうなのと,筐体に取り付けづらそうなところから,今回は軸を通す形式にしました.
さて,先ほどのホルダを部品ごとに分解すると次のようになります.

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フィラメントホルダのパーツ

以下,それぞれについて紹介します.なお,設計はすべてFusion360を使用しました.

軸受け

軸受けは外側と内側の二つに分かれています.

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軸受けの外側(左)と内側(右)
外側のジグザグや内側の段々形状は,接地面積少しでも減らして滑りをよくしようという工夫です.劇的ではありませんでしたが,多少は効果がありました.まぁ軸がいびつなおかげで,内側と軸の間がスムーズに回転して,現状内側と外側は一体に動いてしまっていたり・・・・・・.
ちなみに最初は www.thingiverse.com
様のモデルを使ってベアリングを生成しようとしていたのですが,どうやら私のプリンタではこの精度を出せないようです.設定を調整してそれっぽい動きをするものがいくつかできたのですが,あまりいい動きのものはできなかったので泣く泣く不採用としました.

これは円柱が3Dプリンタで生成できるかどうかのテストです.一応強度のことを考えて横向きで生成しています.気になる側面像を見てみると・・・・・・

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軸の側面
これはひどい...
今回の用途的には問題ありませんでしたが,実用性はかなり限られそうですね.調整でなんとかなるんでしょうか.

軸ホルダ

これが一番複雑な形ですね.

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軸ホルダ
flsun-prusaの筐体はM4ねじで様々なアタッチメントが取り付けられるのがいいですね.軸ホルダの下部にある穴が固定用となります.また,軸は上部をねじで締めることで固定できるようになっています.この部分を側面からみると以下のようになっています.
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軸ホルダ側面図
このように,ナットを埋め込める六角穴をあけています.造形的にこの穴は縦向きになるので3dプリンタ泣かせですね.多少は大きめに設計しましたが,結局ナットはうまくはまらなかったです.とはいえ少し削れば何とかなりそうな程度ではあります(小さめの鑢が手元になかったので試せていませんが).

今回で設計->生成の一通りの流れができたので,いよいよ本格的にロボット製作に入りたいところですが・・・・・・,
現状3Dプリンタのヒートベッドの温度が下がってしまう不具合が発生しているので,早いとここれを解決したいですね.
次の記事はこの問題の解決編になるかもしれません.

ABS樹脂の挑戦とクリアフィラメントの悲劇

今回から,3Dプリンタ~ABS樹脂編~です.
もともとABS樹脂の造形を目的としていたので,これ以降PLAに戻ることはないかと思います.木やTPUなんかはいずれ手を出すかもしれません.

ABS樹脂の特徴

さて,3DプリンタにおけるABS樹脂の(PLAと比較した)特徴ですが,以下のものがあります.

  • 融解温度が高い(220-240℃)
  • 熱による収縮率が高い
    PLAと比べて,温度が下がった際の収縮率が高めとなっています.そのため,最下層の温度が下がった際にベースからはがれることが多くなります.
  • フィラメントの密度が低い
    3Dプリンター用フィラメント PLA|製品情報|株式会社明成化学 様のフィラメント情報を見てもわかるように,PLAは1kgで340mに対し,ABSは1kgで410mになっています.だから何だという話ですが,フィラメントの消費が早いので見ていて少々びっくりします.あとは,エクストルーダの動きが大きくなるのでここのガタが影響しやすくなるとかはあるかもしれません.

ABS樹脂の購入

さて,今回の3DプリンタにはABS樹脂が付属していなかったので,Amazonで以下の透明色のフィラメントを購入しました.
https://www.amazon.co.jp/Pxmalion-3D%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E7%94%A8%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E7%B4%A0%E6%9D%90-%E3%83%9E%E3%83%86%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%ABABS%E6%A8%B9%E8%84%82%E6%9D%90%E6%96%99-1-75mm%E5%BE%84-%E3%81%A0%E3%81%84%E3%81%B6%E3%81%AE3D%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%81%A83D%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%9A%E3%83%B3%E3%81%8C%E9%81%A9%E7%94%A8/dp/B0727R27KV/ref=sr_1_8
クリアパーツってかっこいいですよね!
それにABSは着色できるっぽいので,カラーリングのしやすさからもクリアフィラメントを選びました.
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こんなの買いました.

クリアフィラメントの悲劇

ところでみなさん.シロクマってご存知でしょうか.
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/45/Polar_Bear_ANWR_1.jpg
正式にはホッキョクグマですかね.その名の通り真っ白なクマです.
ですが,実はあの毛を一本抜きとってみてみると,透明らしいですね.
つまり何が言いたいかというと,こういうことです.
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し,白い......
とくに厚みがあるところが顕著ですね.積層型なので当然といえば当然の結果です.1kgも買ったのに...
まぁ,これはABSに慣れるために使いつぶすとしましょう.
余談になりますが,着色するのではなくパーツ毎に色を分ける形で素敵な作品を作っていた方がいました.
3Dプリンターでラッキービーストを作ってみた - ニコニコ動画
プラモデルが自作できる時代・・・・・・.今度はこういうこともやってみたいですね.

ABS用の3Dプリンタ設定

さて,今回ABS樹脂のフィラメントを使うにあたって行った設定は以下のようになります.

  • ホットエンド温度は220℃
    今回買ったフィラメントの適正温度が220-240℃だったため,最下限の220℃としました.215℃でもやってみたのですが,層間の結合が弱くなり割れることが多くなってしまいました.
  • 出力量は100%
    前回のPLAではフィラメントの出力量を90%に落としていましたが,今回それをやると層間で割れることが多くなったので100%にしました.
  • ヒートベッド温度は110℃
    一時ヒートベッドが100℃まで上がらなくなる事態があったのですが,接触を直したことと配線を短くしたことで直りました.100℃でやったこともありますが,50%程度の確率で1層目がはがれて悲惨なオブジェをいくつも生産してしまいました.
    なお現在,ステッピングモータが稼働中にヒートベッドの温度が下がるという現象が発生しています.これについてはもう少し試行錯誤してから記事にしようと思います.

ABSの所感ですが,全体的にPLAより難しいですね.ぶっちゃけかなりテキトーにやってもそれなりに生成できたPLAに比べて,ABSは事故が多い気がします.特に1層目ですね.1層目を制した者が3Dプリンタを制す,みたいなことを言っていた方がいた気がしますが,本当にその通りだと思います.で,1層目をしっかり吸着させるためにいろいろな工夫を凝らした挙句,はがすのが非常に大変みたいな事態も多く起こります.これはもう少しいろいろ研究する必要がありそうですね.
さて次回ですが,ここまで基本的に公開されている3Dモデルを印刷してきたので,自作パーツの印刷について書きたいと思います.よろしくお願いします.

3Dプリンタ所感~2週間目~

とりあえず3Dプリンタが届いて2週間ほど経ったので,感想及びここまでのことを備忘録的にまとめておきます.
※手探りなところが多いので,いろいろ不足や間違いがあると思います.

組み立て編

今回買ったの3Dプリンタはflsunのprusaベースのやつです. 詳細は前記事を参照のこと.
shikky-lab.hatenablog.com
組み立て後の全体像.
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所感まとめ

  • 組み立て時間は約12時間(手戻りが思ったより多かった)
  • マニュアルは付属のpdfと,youtubeの組み立て動画
    • 若干内容が異なる模様.動画の方が工程としては組みやすそう.
    • 部品の欠落はなし
      • ただし,LCD周りの寸法にずれ有? 結局斜めに取り付けました.
      • あと,小型のヒートシンクが余ってしまった.どこに使うんだろ.

ソフトウェアのセットアップ

付属のSDカードに一連の必要なソフトが入っていますが,若干古いので別途入れてきた方が良いかと思います.なお今回はオートキャリブレーションモード付のモデルを買ったのですが,これを使うためにはファームウェアを書き替える必要があります.

初生成

初生成は付属SDに入っていたモデルの一つ,ボルトとナットです.こんな感じになりました.

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見た目はそこそこですが,ナットは最後まで締まらないので精度としてはまだまだ.

キャリブレーション

パラメータ調整にいいモデルがないかと探していたところ,
ピラミッドのキャリブレーション・モデルでプリントの質を改善 – 3Dプリンター作る!
様の記事を見つけたので,ここで使われてるモデルを使ってキャリブレーションを実施しました. f:id:shikky_lab:20180421160217p:plain
左:初回,右:最終
(初回の出来を見たときは結構落胆しました.どうも造形中にノズルがオブジェクトにぶつかっていたので機械精度の方を疑ったのですが,いろいろ設定値を変えるとそのあたりの問題は解消しました.設定値の影響は想像以上に大きいみたいです.) いろいろな調整をしましたが,効果の大きかった順に並べると以下の感じですかね.先ほどのリンクの内容と被ってる部分も多いです.
※なお,フィラメントは付属のPLA,スライサはslic3rを使っています.

  • ホットエンドの温度を下げる
    一般的に融解温度の下限値が良いらしいです1.一層目を185℃,以降180℃としました.糸引きがだいぶ減りました.なおヒートベッドは60℃としています.
  • 吐出量を下げる
    90%にしました.感覚的に吐出量を下げた方が造形自体はきれいになっていきますが,層間の結合がもろくなっていくように思います.
  • プラットフォームシートを使用する
    反りの軽減に効果大です.3Mさんのプラットフォームシートを購入して使用してみました. https://www.amazon.co.jp/dp/B01M11XI4Y/ref=twister_B071WRF5YN?_encoding=UTF8&psc=1 付属のマスキングテープの質の問題かはわかりませんが,プラットフォームシート使用後の安定感はすごいですね.反りが完全になくなります.かなり強く吸着するのではがすのが大変ですが.一応消耗品のようですが,今のところ(2週間)張替の必要性は感じていません.
  • retract量を増やす
    糸引きの軽減に効果大です.フィラメントの質が悪い場合は値を大きくした方が良いらしいです.2mm(default)->4mmにしました.なお,retract速度も早めておくと,糸引きを結構軽減できました.
    なお,retract時などにz軸を持ち上げるlift-zの設定はあまり効果を感じませんでした.
  • external perimeterを先に造形する
    slic3rのprint settings->Layers and Perimeters->Advanced->external perimeter firstです.これは外壁の外側から先に造形する設定で,糸引きが発生した場合に,それを内側に閉じ込めることができる・・・気がします.

もちろん作りたいものによって調整値は変わるとは思いますが,おおむねの設定は出来てきた気がします.

その他設定

  • オートキャリブレーションを毎回実施する.
    初期状態でオートキャリブレーション機能が入っていなかったからなのか,マニュアルで指定しないとこの動作を実行することができません.これはGコードのG29で実行されますので, Slic3r->print settings->Custom G-code->Start G-code
    のG28の下にG29を記述しておくと,毎回動作させることができます.
  • 造形開始前/終了後の糸引きを抑制する.
    造形開始前にホットエンド温度を上げている最中に漏れ出したフィラメントが造形に巻き込まれることがあります.また造形終了後の糸引きはテーブルを汚してしまいます.これらは造形完了後にフィラメントを引き戻しておくことで対策できます.
    Slic3r->print settings->Custom G-code->End G-code
    のホットエンド温度を下げる前に,
    g1 e-5;retract filament
    を入れておくと,造形終了後に5mmフィラメントを引き下げます.
    なおこのまま造形を始めるとフィラメントがセットされていない状態 になってしまいますので,先のstart G-codeにフィラメントを引き出す設定をするか,スカートを多めに出すかしましょう.(私はスカートを3周分出しています.)

はじめのまとめとしてはこんなところでしょうか. 次回はABS樹脂の使用感などについて触れていきたいと思います.

3Dプリンタ購入にあたっての事前調査まとめ

前々から欲しいと思っていた3Dプリンタですが,いよいよ購入を決意したので選定を行いました.
ちなみに,最終的に選んだのはこちらになります.
Flsun 3D Printer I3 Dual Extruder Kits Auto leveling Large Size 300x300x420mm Printer 3D Heated Bed Two Rolls Filament -in 3D Printers from Computer & Office on Aliexpress.com | Alibaba Group
これのauto printerというモデルです.デカルト型でフィールドサイズは20x20x22cmです.
※実際の使用感などについては到着後に再度記事にしたいと思います.

以下に,選定の際に調査した内容をまとめます.

はじめに,3Dプリンタの選定にあたって

私が3Dプリンタに求めることとして,以下のことがあります.

  • ロボット用の部品作りたい

    引っ越ししてから使える工作機械がなくなってしまったので,割と何でも3Dプリンタに頼りたいと思ってます.

  • abs樹脂を使いたい

    ロボット用部品となると,定番のabs樹脂は使いたいですね.

  • 組み立て式でもよい

    完成品は魅力的ではありますが,構造を学ぶ意味も込めて,自分で組み立てる方式もよいかなと思っています.

このような基準の上で3Dプリンタを選定しました.

プリンタ構造の選定

3Dプリンタには大きく分けて,四角い箱型(デカルト型)と,円筒上のタワー型(デルタ型)の2種類があります.

いわゆる一般的な3dプリンタといえばこの形.xyz軸がそれぞれ単独で動くため,デカルト座標系からこの名前で呼ばれている様子.
マシンサイズに対して加工フィールドを大きく取れるという特徴がある.また組み立てや調整がやりやすいため初心者向きとの声が多い.
欠点はフィールド自体が稼働すること.このため,高さのある造形をすると形が崩れることがある.造形速度を下げればやれないことはないのかな.

最近よく見るようになったモデル.パラレルリンクによって構築されている.こういったロボットをデルタロボットというらしく,そこからデルタ型と呼ばれる.
フィールドが固定でノズル部分が動くため,高さのある造形も崩れにくい. 3軸の組み合わせによって動くため駆動が安定しやすいが,誤差も3軸分乗るため精度が高め難いらしい1.
とはいえ,調べているとデルタ型の方が精度が良いという記述もよく見る.実際どーなんだろ.
高さ方向のサイズは大きくなりがちだが,占有面積は小さいため,面積だけでみると省スペースになりやすい.
また構造がシンプルなため安価になりやすい傾向がある.
これだけ書くといいことづくめに見えるが,調整などが複雑なため初心者には難しいらしい.

最終的に,今回は1台目のプリンターなので,初心者向けとされているデカルト型を選択することにしました.

※補足:RepRapについて
上記3Dプリンタの画像はRepRap Wikiというところからお借りしました.RepRapオープンソース3Dプリンタを開発するプロジェクトです.素晴らしいですね.安価な3Dプリンタは大抵RepRapのものをベースに構築されています.
RepRapの中にも様々なモデルがあります.一覧はこちら.
RepRap Machines/ja - RepRapWiki
代表的なものは,デカルト型なら「prusa」,デルタ型なら「Rostock」,「kossel」ですかね.なお,Rostockとkosselの違いは
http://blog.livedoor.jp/comodos/archives/66777020.html
様がまとめてくださっていました. 該当部分を引用させていただくと,

Rostockは、上下の板が合板でZ方向の駆動にシャフトを使用。
Kosselは、上下がアルミフレームでZ方向の駆動にレールを使用 Rostockは組み立ててから誤差に気付いても修正が不可能なのに対して、Kosselならば修正可能な点が素人工作には向いてるのだそう。

とのことです.

フィラメントについての調査

FDM(熱溶解積層)方式の3Dプリンタの場合,PLAとABSが主流.これらの特徴については正直いろんな人がまとめているので割愛します.
なお,これらを含めて3Dプリンタで用いられる素材についての解説はリコーのやつがなかなか詳しいと思います.
3Dプリンターで使用できる材料と素材の特徴~強度や精度を確認|リコー ※FDM以外の方式を対象とするフィラメントも含まれているので注意.

なお,Amazonで取り扱っているフィラメントについては
3Dプリンターのフィラメントの種類について調べてまとめた | あること・ないこと日記 様が綺麗にまとめてくださっています.

3Dプリンタの中にはPLAしか使えないものもあるみたいですが,基本的にRepRap系のやつを選ぶとABS,PLAを含めていろいろなフィラメントに対応しているみたいです.私が最終的に選んだやつも,以下のフィラメントに対応しています.
PLA, ABS,WOOD,HIPS,PVA,Nylon,poly,TPU

WOODは木粉が練りこまれているフィラメントらしいです.生成物を見るに,結構木っぽくて面白そうなのでいつか試してみたいですね.

https://fabcross.jp/news/2015/05/dmln53000000ofzi-img/0501_wood_like_001.jpg
https://fabcross.jp/news/2015/05/20150501_wood_like.htmlより

ところで,polyってのはポリ乳酸のことらしいです.
Polylactic acid - Wikipedia
つまりPLAですね.先ほどの表記は重複してるんですかね.

その他機能を選定

ここまででおおよその形は決まったので,あとはオプション機能について調べていきます.ざっと挙げると以下ですかね.

  • オートレベリング
    ベースフィールドの水平だしを自動でやってくれる.正確にはフィールドの傾きを考慮して補正をかけてくれる機能.・・・・・・だと思う.
  • ヒーティングベッド
    土台のフィールドの温度を上げてくれる機能.ABSを扱う場合は必須.PLAでもあった方が綺麗に行くことが多いらしい.
  • マルチノズル
    その名の通り複数のノズルを持つ.サポート材に別素材を使ったり,色の混じった造形などができる.curaなどのフリーのスライシングソフトでも一応対応しているらしい.
  • レジューム
    途中で造形が停止された場合に,その部分から再開できる機能.緊急時もさることながら,途中でフィラメントの色を変えることなども可能.

ほかにもいろいろとあると思います.オートレベリングとヒーティングベッドについては 3Dプリンター 選び方ガイド ⋆ 3dプリンター ・ 3dプリンター 素材 ・ オンラインショップ
様の記事を読んで,必須なんじゃないかなと思ってます.

以上を踏まえて,デカルト型でオートレベリング,ヒーティングベッド付きのそこそこ安いやつを探していると,上記モデルに行きつきました.

続きは後日レビューします.それでは.