雑食エンジニアの気まぐれレシピ

日ごろ身に着けた技術や見知った知識などの備忘録的なまとめ.主にRaspberry Piやマイコンを使った電子工作について綴っていく予定.機械学習についても書けるといいな.

3Dプリンタ所感~2週間目~

とりあえず3Dプリンタが届いて2週間ほど経ったので,感想及びここまでのことを備忘録的にまとめておきます.
※手探りなところが多いので,いろいろ不足や間違いがあると思います.

組み立て編

今回買ったの3Dプリンタはflsunのprusaベースのやつです. 詳細は前記事を参照のこと.
shikky-lab.hatenablog.com
組み立て後の全体像.
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所感まとめ

  • 組み立て時間は約12時間(手戻りが思ったより多かった)
  • マニュアルは付属のpdfと,youtubeの組み立て動画
    • 若干内容が異なる模様.動画の方が工程としては組みやすそう.
    • 部品の欠落はなし
      • ただし,LCD周りの寸法にずれ有? 結局斜めに取り付けました.
      • あと,小型のヒートシンクが余ってしまった.どこに使うんだろ.

ソフトウェアのセットアップ

付属のSDカードに一連の必要なソフトが入っていますが,若干古いので別途入れてきた方が良いかと思います.なお今回はオートキャリブレーションモード付のモデルを買ったのですが,これを使うためにはファームウェアを書き替える必要があります.

初生成

初生成は付属SDに入っていたモデルの一つ,ボルトとナットです.こんな感じになりました.

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見た目はそこそこですが,ナットは最後まで締まらないので精度としてはまだまだ.

キャリブレーション

パラメータ調整にいいモデルがないかと探していたところ,
ピラミッドのキャリブレーション・モデルでプリントの質を改善 – 3Dプリンター作る!
様の記事を見つけたので,ここで使われてるモデルを使ってキャリブレーションを実施しました. f:id:shikky_lab:20180421160217p:plain
左:初回,右:最終
(初回の出来を見たときは結構落胆しました.どうも造形中にノズルがオブジェクトにぶつかっていたので機械精度の方を疑ったのですが,いろいろ設定値を変えるとそのあたりの問題は解消しました.設定値の影響は想像以上に大きいみたいです.) いろいろな調整をしましたが,効果の大きかった順に並べると以下の感じですかね.先ほどのリンクの内容と被ってる部分も多いです.
※なお,フィラメントは付属のPLA,スライサはslic3rを使っています.

  • ホットエンドの温度を下げる
    一般的に融解温度の下限値が良いらしいです1.一層目を185℃,以降180℃としました.糸引きがだいぶ減りました.なおヒートベッドは60℃としています.
  • 吐出量を下げる
    90%にしました.感覚的に吐出量を下げた方が造形自体はきれいになっていきますが,層間の結合がもろくなっていくように思います.
  • プラットフォームシートを使用する
    反りの軽減に効果大です.3Mさんのプラットフォームシートを購入して使用してみました. https://www.amazon.co.jp/dp/B01M11XI4Y/ref=twister_B071WRF5YN?_encoding=UTF8&psc=1 付属のマスキングテープの質の問題かはわかりませんが,プラットフォームシート使用後の安定感はすごいですね.反りが完全になくなります.かなり強く吸着するのではがすのが大変ですが.一応消耗品のようですが,今のところ(2週間)張替の必要性は感じていません.
  • retract量を増やす
    糸引きの軽減に効果大です.フィラメントの質が悪い場合は値を大きくした方が良いらしいです.2mm(default)->4mmにしました.なお,retract速度も早めておくと,糸引きを結構軽減できました.
    なお,retract時などにz軸を持ち上げるlift-zの設定はあまり効果を感じませんでした.
  • external perimeterを先に造形する
    slic3rのprint settings->Layers and Perimeters->Advanced->external perimeter firstです.これは外壁の外側から先に造形する設定で,糸引きが発生した場合に,それを内側に閉じ込めることができる・・・気がします.

もちろん作りたいものによって調整値は変わるとは思いますが,おおむねの設定は出来てきた気がします.

その他設定

  • オートキャリブレーションを毎回実施する.
    初期状態でオートキャリブレーション機能が入っていなかったからなのか,マニュアルで指定しないとこの動作を実行することができません.これはGコードのG29で実行されますので, Slic3r->print settings->Custom G-code->Start G-code
    のG28の下にG29を記述しておくと,毎回動作させることができます.
  • 造形開始前/終了後の糸引きを抑制する.
    造形開始前にホットエンド温度を上げている最中に漏れ出したフィラメントが造形に巻き込まれることがあります.また造形終了後の糸引きはテーブルを汚してしまいます.これらは造形完了後にフィラメントを引き戻しておくことで対策できます.
    Slic3r->print settings->Custom G-code->End G-code
    のホットエンド温度を下げる前に,
    g1 e-5;retract filament
    を入れておくと,造形終了後に5mmフィラメントを引き下げます.
    なおこのまま造形を始めるとフィラメントがセットされていない状態 になってしまいますので,先のstart G-codeにフィラメントを引き出す設定をするか,スカートを多めに出すかしましょう.(私はスカートを3周分出しています.)

はじめのまとめとしてはこんなところでしょうか. 次回はABS樹脂の使用感などについて触れていきたいと思います.