ABS樹脂の挑戦とクリアフィラメントの悲劇
今回から,3Dプリンタ~ABS樹脂編~です.
もともとABS樹脂の造形を目的としていたので,これ以降PLAに戻ることはないかと思います.木やTPUなんかはいずれ手を出すかもしれません.
ABS樹脂の特徴
さて,3DプリンタにおけるABS樹脂の(PLAと比較した)特徴ですが,以下のものがあります.
- 融解温度が高い(220-240℃)
- 熱による収縮率が高い
PLAと比べて,温度が下がった際の収縮率が高めとなっています.そのため,最下層の温度が下がった際にベースからはがれることが多くなります. - フィラメントの密度が低い
3Dプリンター用フィラメント PLA|製品情報|株式会社明成化学 様のフィラメント情報を見てもわかるように,PLAは1kgで340mに対し,ABSは1kgで410mになっています.だから何だという話ですが,フィラメントの消費が早いので見ていて少々びっくりします.あとは,エクストルーダの動きが大きくなるのでここのガタが影響しやすくなるとかはあるかもしれません.
ABS樹脂の購入
さて,今回の3DプリンタにはABS樹脂が付属していなかったので,Amazonで以下の透明色のフィラメントを購入しました.
https://www.amazon.co.jp/Pxmalion-3D%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E7%94%A8%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E7%B4%A0%E6%9D%90-%E3%83%9E%E3%83%86%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%ABABS%E6%A8%B9%E8%84%82%E6%9D%90%E6%96%99-1-75mm%E5%BE%84-%E3%81%A0%E3%81%84%E3%81%B6%E3%81%AE3D%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%81%A83D%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%9A%E3%83%B3%E3%81%8C%E9%81%A9%E7%94%A8/dp/B0727R27KV/ref=sr_1_8
クリアパーツってかっこいいですよね!
それにABSは着色できるっぽいので,カラーリングのしやすさからもクリアフィラメントを選びました.
こんなの買いました.
クリアフィラメントの悲劇
ところでみなさん.シロクマってご存知でしょうか.
正式にはホッキョクグマですかね.その名の通り真っ白なクマです.
ですが,実はあの毛を一本抜きとってみてみると,透明らしいですね.
つまり何が言いたいかというと,こういうことです.
し,白い......
とくに厚みがあるところが顕著ですね.積層型なので当然といえば当然の結果です.1kgも買ったのに...
まぁ,これはABSに慣れるために使いつぶすとしましょう.
余談になりますが,着色するのではなくパーツ毎に色を分ける形で素敵な作品を作っていた方がいました.
3Dプリンターでラッキービーストを作ってみた - ニコニコ動画
プラモデルが自作できる時代・・・・・・.今度はこういうこともやってみたいですね.
ABS用の3Dプリンタ設定
さて,今回ABS樹脂のフィラメントを使うにあたって行った設定は以下のようになります.
- ホットエンド温度は220℃
今回買ったフィラメントの適正温度が220-240℃だったため,最下限の220℃としました.215℃でもやってみたのですが,層間の結合が弱くなり割れることが多くなってしまいました. - 出力量は100%
前回のPLAではフィラメントの出力量を90%に落としていましたが,今回それをやると層間で割れることが多くなったので100%にしました. - ヒートベッド温度は110℃
一時ヒートベッドが100℃まで上がらなくなる事態があったのですが,接触を直したことと配線を短くしたことで直りました.100℃でやったこともありますが,50%程度の確率で1層目がはがれて悲惨なオブジェをいくつも生産してしまいました.
なお現在,ステッピングモータが稼働中にヒートベッドの温度が下がるという現象が発生しています.これについてはもう少し試行錯誤してから記事にしようと思います.
ABSの所感ですが,全体的にPLAより難しいですね.ぶっちゃけかなりテキトーにやってもそれなりに生成できたPLAに比べて,ABSは事故が多い気がします.特に1層目ですね.1層目を制した者が3Dプリンタを制す,みたいなことを言っていた方がいた気がしますが,本当にその通りだと思います.で,1層目をしっかり吸着させるためにいろいろな工夫を凝らした挙句,はがすのが非常に大変みたいな事態も多く起こります.これはもう少しいろいろ研究する必要がありそうですね.
さて次回ですが,ここまで基本的に公開されている3Dモデルを印刷してきたので,自作パーツの印刷について書きたいと思います.よろしくお願いします.