雑食エンジニアの気まぐれレシピ

日ごろ身に着けた技術や見知った知識などの備忘録的なまとめ.主にRaspberry Piやマイコンを使った電子工作について綴っていく予定.機械学習についても書けるといいな.

3DプリンタでHTC-VIVEのベースステーション用雲台を作る

こんにちは.

昨今のVRブームに(今更)流されて,HTC-VIVEを購入することにしました.
しかもpro. www.vive.com

で,このVIVEを動かすためにはベースステーションという赤外線レーダーを部屋の隅に約2mの高さに設置する必要があります.
この設置には皆さん苦労されているようですね.設置方法については,
HTC VIVEのセットアップと注意点。ベースステーションの設置方法。 | 自作パソコンdeゲーム野郎
様がいろいろとまとめてくれています.

私の部屋の場合,一つは上記記事にあるようなツッパリ棒スタイルが使えたのですが,もう一つの設置場所には使えませんでした. ただ少し厚め(約65mm)の間仕切りがあるため,ここにクランプして固定することを考えます.
ですが,どうにも市販のカメラ雲台でこの幅がクランプできて,かつ角度調整が可能なものが見つけられませんでした.
なので自作することにします.
前置きが長くなりましたが,ここからが本題です.

いきなり完成品

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こんなのつくりました.固定するとこんな感じです.
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構成としては二つに分かれており,"ボールジョイント式のカメラ雲台部分"と”クランプ部分”があります.以下はそれぞれについて解説します.

ボールジョイント部分

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ぶっちゃけ工夫したのはここだけのような...
角度調整が可能な雲台として最も作りやすそうなものがこのボールジョイント式だと思いましたので,これを採用することにします.ボールの直径は30mmとしました.構成としては以下の3部品に分かれています.

ボールジョイント上部

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ボール部分上部(表)と(裏)
ここがベースステーションとつながる部分になります.ベースステーションには通常のカメラと同様にW1/4の雌ねじが切ってありますので,それを使って固定します.
さすがに固定用の雄ねじを3Dプリンタで作りたくはないので,ボールジョイント上部に雌ねじを切り,市販のねじを通して使用します.
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W1/4の20mmねじ.こいつを埋め込みます.

発想自体はシンプルなものです
が,fusion360でW系(ウィット系)のねじはデフォルトで作成できません.
このせいで少し手間取りました.なお,ウィットねじの切り方は前回の記事にまとめてあります.
shikky-lab.hatenablog.com
前回も少し述べましたが,私の3Dプリンタではそこまで綺麗にねじを切ることができないので,金属ねじを使ってタップを切っていくような形になります.

ボールジョイント下部

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こちらは特に語ることがないですね.前述のボール上部と合わせてねじを挟み込みます.固定用の穴はφ3で,M3ねじをタッピングビスのように使って止めます.

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上下を合わせたボール.チュッパチャップスにしか見えねぇ...

ボール固定部分

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ボール固定部(表)と(裏)

微妙に複雑な形をしたこちらですが,上部の3mmだけ球状にくりぬかれています.ボール径は30mmなので10%に相当しますね.強度面の不安がありましたが,完成品をいじっている限り問題なさそうです.
手前の凸部分はボール固定用で,M4ナットを中に仕込むことができます.設計の都合で止めねじをボールの中心に当てることができなかったため,薄い板をねじとボールの間に挟むような形式にしました.

ところで,

Q.ボールに対して直径ぴったりの固定部を作って果たしてうまくいくのか?

と疑問に思う方がいるように思います.

A.もちろんうまくいきません.

まぁある程度は想定内です.がばがばすぎるのも怖かったので.紙やすりで結構やすってはめ込みました.

クランプ部分

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クランプ部分.別写真がないので再掲...
3Dプリンタならこういった造形は一体成型にすることもできますが,強度面に不安が残るため分割で作ってねじで固定することにしました.クランプ下部の板に固定用のM4ねじが貫通しています.

ボール支え面

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これはクランプのボールジョイント側の面です.球状のくぼみは3mmの厚み分えぐっており,ここにボールが触れる形になります.

クランプ下部(スペーサ)

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クランプの挟む面をつなぐ役割を持つ部品です.実質ただのスペーサですね.側面に空いている穴にM4ねじを貫通させます.
強度の都合上,穴が横向きになるように成型しました.そのため,穴がつぶれることを考慮してφ5で空けています.まぁスペーサなのでガバ穴で何の問題もないです.

クランプ反対面

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クランプ反対面(表)と(裏)
中央の穴にはM8ねじを通します.裏面にはM8ナットが仕込めるようになっています.

押し出し板

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クランプ反対面を通したM8ねじを回すと,この板が押し出されます.ここが壁と直接触れる面となりますね.本来はこの板が分離しない工夫をするべきなのだと思いますが,どうせ挟まれたら動かないので完全分離式です.

おわりに

はい,というわけで今回はカメラ雲台を作成しました.見た目はなかなか悪くないように思いますが,実際のクランプ力には若干疑問が残ります.まぁこの辺りは挟む面の素材次第だと思うので,もう少しいろいろ探してみます. あと,

VIVEはめちゃくちゃ面白いです. BEAT SABERサイコー!!!!!!

www.youtube.com
もうこれだけで元とれた感すらあります.

まぁそれはそれとして,VR系はまだまだ発展途上なので個人開発の余地が結構あるように思います.私もぜひ何かやってみたいですね.いい感じに思いついたら記事にしたいと思います.
それでは.