雑食エンジニアの気まぐれレシピ

日ごろ身に着けた技術や見知った知識などの備忘録的なまとめ.主にRaspberry Piやマイコンを使った電子工作について綴っていく予定.機械学習についても書けるといいな.

第10回ソレコン応募作品「なんか回転しながらカッコよく登場させる台座」

タカハ機工様が毎年開催している"ソレコン"
ソレコン – タカハ機工

面白そうだなと思いつつ毎年眺めていたのですが、満を持して初参戦してきました。
作ったものがコチラ。
www.youtube.com

どんなものかは動画見ていただければ伝わるかと思うので、今回はこの裏側について書いていきたいと思います。

といっても構成的な話はGitHubの方にまとめたので、そちらをご参照ください。 github.com

ここでは裏話や苦労した点、役立ったアイテムなどを書いていきます。

コンセプトと裏話

実は今回のアイデア、別件で「デジタルダイス」なるサイコロ的なものを振るためのガジェットを作る必要があり、それを念頭に発想したものでした。
動画の後半でダイスロールさせていますが、実はそれが本編だったりします。

発想の発端はそれだったんですが、ロングストロークソレノイドの特徴として「プッシュとしてもプルとしても使える」というものがあり、どうせならそれをフル活用したいなという思惑もあったりします。


ツイート見ると、締め切りの2週間前から開発開始してますね。参戦すること自体は去年から決めてたので、アイデア出しの難航っぷりが分かります(笑)。

デザイン的な話

最終的には大理石の石柱の見た目になりましたが、実はこれは後付けだったりします。
たまたま購入したovertrueの大理石フィラメントというものの見た目がかなり良く、フィラメントに寄せたデザインにしてみました。
www.amazon.co.jp

このフィラメント、見た目も凄くいいうえに、巻きもめちゃくちゃ綺麗なので安定して使えて良かったです。

最終的な石柱デザインもうまくコンセプトにマッチしていて、満足いく出来栄えになりました。

螺旋型のせり上げ機構の話

今回のキモともいうべき螺旋型のせり上げ機構ですが、こういった使い方は過去のソレコン作品を見て知りました。
www.youtube.com
様々な応用例を検討をされていて、大変参考になりました。ありがとうございます。

今回の構成では、外側のフレームに120度間隔でネジを取り付けており、このネジ頭をスライドに沿わせています。

外側フレームのねじ部分

動画でも紹介しましたが、せり上がる台座部分はらせん状に溝を切ったものと、直線状に溝を切ったものの2種類があり、これを切り替えることで飛び方を変えることができます。

螺旋と直線のせり上げ台

摺動部にはkureの滑り剤を吹きかけました。普通のシリコーンスプレーとの違いはよくわかっていませんが、これを吹きかけるだけでかなり動きがよくなりました。 www.kure.com

パワーの話

らせん状の台の押し出しに際して、とりあえず手元の(貧弱な)12V電源につないだところ、全然動かなくてかなり焦りました。

念のためロングストロークソレノイドの中で最も抵抗値が低い6.2Ωのものを使用していたので、時間もなかったこともあり電圧を上げてパワーで解決しようという脳筋発想でやりました。

24Vを6.2Ωにかけると計算上4A程度の電流容量が必要となりますが、そんなバカでかい24V電源なんてねーよと悩んでいた矢先、隣で元気に稼働している3Dプリンタ君が目に入りました。

こいつの24V電源を拝借して動かしました。まぁこのせいで実験とプリントが並行できず、修羅場時に若干困ったわけですが。。。(笑)

なお、6.2Ωのモデルに24Vの電圧を印加する場合、導電時間を25%以下に抑える必要があります。
今回は最終的に80ミリ秒だけ電流を流しています。

24V電源を採用したことでパワー不足は解消したかと思いきや、パーツをゴテゴテつけていくとどんどん動きが鈍くなり、思った高さが全然でなくて困りました。

特に最上部の蓋の部分の影響が甚大で、その有無でこんなに差があります。

※別途検証しましたが、蓋に頭をぶつけているから高さが出ないわけではなく、純粋に威力が減衰していました。

最終版では上部の軽量化などを徹底して、最低限コンセプトが成り立つ威力を確保しました。

リンク機構の接合部の話

最初は回転軸にそのままネジを突っ込んでいたんですが、ゴリゴリに削れていきそうだなと危惧して、こんな感じで真鍮パイプを通しました。

リンク機構の接合部に使用した真鍮パイプ

Φ4の真鍮パイプにM3のネジを通しています。ロボコン時代に雑な接合部によく使ってました。

パイプカッターだけで加工できるので、設備がない今でもやりやすいのがいいですね。

耐久性の話

ソレコンの応募条件のひとつに「3、何度動かしても壊れないような丈夫なつくりであること」というものがあるのですが、今回の作品はこの辺がちょっと危ういです。

動画をよく見ていただけるとわかるのですが、左右の柱が開ききった際にかなりしなっており、リンク機構接合部付近に相当なせん断応力が加わっていることが見て取れます。
(というか、PLAってこんなにしなるんですね。。。)

まぁ「何度動かしても壊れない」というのはどんな機構であれ有り得ないですし、今回のも実験上100回程度は問題なく使えるのでヨシと判断しました。

ただ1000回は保たないので、今後MakerFaireとかに持っていく可能性を考えて、その辺を改良したモデルを現在設計しています。

この辺もうまくいったらまた記事にするかもです。

おわりに

第10回のソレコンはこんな感じでした。
ソレノイド自体も初めて使ったので非常に良い経験になりましたし、コンテストということでしっかりデザインに拘ったのも新鮮でよかったです。
また動画作成やFusion360も一層深く学べましたし、やはりこういう機会はいいですね。

今後もこういったイベント事には積極的に参加していこうと思います。

それでは。