3Dプリンタ(Flsun prusa i3)の性能を評価してみる
前回,3Dプリンタ(Flsun i3)のノズルを交換したのですが,こういう改造をいろいろ追加した際に造形にどう影響するのかを把握したくなったので,ちゃんとベンチマークをとってみることにしました.
ベンチマーク用の造形物はいろいろあるかと思いますが,今回は
3Dプリンタのベンチマークをしよう #FDMtest|はるかぜポポポ|note
様のところで紹介されていた,FDMTestを試してみたいと思います.
曰くAutodeskとKickStarterが共同で作ったベンチマークデータらしく,KickStartar上の3Dプリンタはすべてこれで評価するんだとか.
詳しくは先のリンクをご参照ください.
このベンチマークは採点基準が明確になっているので,誰でも手元の3Dプリンタを評価することができます.
さて,この子はどれほどの性能が出せるのか.試してみたいと思います.
FDMTestについて
FDMTestでは,次の各項目についてそれぞれ採点を行っていきます.
- Dimensional Accuracy (直径精度)
- Fine Flow Control (糸引きチェック?)
- Fine Negative Features (隙間精度)
- Overhangs
- Bridghing
- XYResonance
- Z-axis alignment (Z方向の周期的な模様?)
おそらくこういうところが確認できるんだろうな,という点を日本語でカッコ書きしました.
また,それぞれについて具体的な採点方法方法が下記のように決められています.すべてOKなら30点となります.調べた感じ,標準は20点くらいな気がします.
kickstarter-autodesk-3d/README.md at master · kickstarter/kickstarter-autodesk-3d · GitHub
また,このテストは実施条件として,
- デフォルトの設定を使用すること
- 指定のフィラメント(eSun のPLA+のCool Whileカラー)を使用すること
が定められています.デフォルト設定と指定してあるあたり,このテストが3Dプリンタ自体を評価するものであることがわかります.
が,今回は手持ちのフィラメント(PxmalionのABS)を使ったうえで,これまでの経験によって培われた「ぼくのかんがえたさいきょうのせっていち」にて実施してみます.
テスト結果
全体像
全体像はこんな感じ.すでに上のあたりに不穏な影が見えますが...
以下,ひとつづつ見ていきます.
Dimensional Accuracy
直径精度では,5mmずつ径が異なる円筒の精度をX方向,Y方向で計測し,平均のずれの値でスコアリングします.
Target | Measured X | Measured Y | X Error | Y Error |
---|---|---|---|---|
25 | 24.71 | 24.79 | -0.29 | -0.21 |
20 | 19.76 | 19.80 | -0.24 | -0.2 |
15 | 14.77 | 14.76 | -0.23 | -0.24 |
10 | 9.80 | 10.14 | -0.2 | 0.14 |
5 | 4.78 | 4.87 | -0.22 | -0.13 |
Avg Err(絶対値の平均) | 0.236 | 0.184 | - | - |
Average of avg.X and avg.Y error | 0.21 | - | - | - |
Diff between avg.X and avg.Y error | 0.052 | - | - | - |
というわけで,平均は0.21.スコアは3でした.
Fine Flow Control
この項目では,上のはえた尖塔の長さが十分にあるかどうかと,間に糸引きがしていないかを評価します.
長さが35mm以下なら,0
長さが35mm以上かつ,塔にまたがる糸引きがあれば2.5
長さが35mm以上かつ,塔にまたがる糸引きがなければ5.0
さて,私の結果はこんな感じ.
長さは37.7mmあったのでそちらは合格.糸引きは,,,無いといえば無いです.
明らかにほかの問題が出ていますが,線の間に届く糸引きはないので,5点になってしまいます.いいのかな...
Fine Negative Features
わずかな隙間にはめ込まれた円筒が,すっと抜けるかどうかで評価します.私のはこんな感じ.
3本抜けました.よって3点です.
Overhangs
45°,30°,20°,15°で角度が変わっている板にて,どこから見た目に変化が出ているかで評価します.
若干判断がしづらいですが,私のやつは45°と30°で見た目が違う気がします.1点ですね.
Bridging
ブリッジしてる間で,垂れている部分が下に触れていなければOK.私のはどうも一番下のやつから触れてるので0点ですね.
と思ったんですが,上2本はぎりぎり触れていないようにも見えます.普通は下のほうが難易度が低く,上の方,つまりブリッジする距離が長い方が難易度が高いはずなんですが... まぁほぼ触れているので0点としましょう.
XY Resonanse
目盛りが書かれている面にて,光を横から当てた際際に波模様なようなものが見えたら0点,見えなければ2.5点.特に見えないので2.5点です.
Z-axis alignment
一番評価が謎な項目.Z方向の柱にねじの周期を反映したような周期的な乱れができると0点,そうでなければ2.5点ということらしいです.どの状態がダメなのかがいまいちわからないですが,周期的なずれみたいなものはない気がするので,2.5点ですかね.
追記
後日,冒頭で紹介したはるかぜポポポさんにお会いする機会があったのですが,今回の出力結果では減点対象になりそうという評をいただきました.要するにここはZ軸の積層痕の評価のようです.さておき今回の総合点からは-2.5点しておく必要がありそうです.
なお,お会いした際に他にも色々とアドバイスを頂いたので,今度それらを工夫して再度試してみようと思います.
追記終わり
結果
というわけで,合計すると17点になりました.
標準は20点くらいっぽいので,まずまずといったところでしょうか.ただ,一部割と甘い判定をしているので,実際のところはどうなんでしょうか.とはいえ,ブリッジやオーバーハングはオブジェクトに直接風当てるファンがないとどうしようもない気がします.
ただそうするとABSははがれてしまう気がするので,ABSの場合のスコアは低く出がちな気がします.どうなんでしょうか.
さておき,自分の3Dプリンタを客観的に評価することができました.今後改造をした際は,都度このデータで測定してみようと思います.いずれ20点は超えたいですね.
それでは.