雑食エンジニアの気まぐれレシピ

日ごろ身に着けた技術や見知った知識などの備忘録的なまとめ.主にRaspberry Piやマイコンを使った電子工作について綴っていく予定.機械学習についても書けるといいな.

3Dプリンタ購入にあたっての事前調査まとめ

前々から欲しいと思っていた3Dプリンタですが,いよいよ購入を決意したので選定を行いました.
ちなみに,最終的に選んだのはこちらになります.
Flsun 3D Printer I3 Dual Extruder Kits Auto leveling Large Size 300x300x420mm Printer 3D Heated Bed Two Rolls Filament -in 3D Printers from Computer & Office on Aliexpress.com | Alibaba Group
これのauto printerというモデルです.デカルト型でフィールドサイズは20x20x22cmです.
※実際の使用感などについては到着後に再度記事にしたいと思います.

以下に,選定の際に調査した内容をまとめます.

はじめに,3Dプリンタの選定にあたって

私が3Dプリンタに求めることとして,以下のことがあります.

  • ロボット用の部品作りたい

    引っ越ししてから使える工作機械がなくなってしまったので,割と何でも3Dプリンタに頼りたいと思ってます.

  • abs樹脂を使いたい

    ロボット用部品となると,定番のabs樹脂は使いたいですね.

  • 組み立て式でもよい

    完成品は魅力的ではありますが,構造を学ぶ意味も込めて,自分で組み立てる方式もよいかなと思っています.

このような基準の上で3Dプリンタを選定しました.

プリンタ構造の選定

3Dプリンタには大きく分けて,四角い箱型(デカルト型)と,円筒上のタワー型(デルタ型)の2種類があります.

いわゆる一般的な3dプリンタといえばこの形.xyz軸がそれぞれ単独で動くため,デカルト座標系からこの名前で呼ばれている様子.
マシンサイズに対して加工フィールドを大きく取れるという特徴がある.また組み立てや調整がやりやすいため初心者向きとの声が多い.
欠点はフィールド自体が稼働すること.このため,高さのある造形をすると形が崩れることがある.造形速度を下げればやれないことはないのかな.

最近よく見るようになったモデル.パラレルリンクによって構築されている.こういったロボットをデルタロボットというらしく,そこからデルタ型と呼ばれる.
フィールドが固定でノズル部分が動くため,高さのある造形も崩れにくい. 3軸の組み合わせによって動くため駆動が安定しやすいが,誤差も3軸分乗るため精度が高め難いらしい1.
とはいえ,調べているとデルタ型の方が精度が良いという記述もよく見る.実際どーなんだろ.
高さ方向のサイズは大きくなりがちだが,占有面積は小さいため,面積だけでみると省スペースになりやすい.
また構造がシンプルなため安価になりやすい傾向がある.
これだけ書くといいことづくめに見えるが,調整などが複雑なため初心者には難しいらしい.

最終的に,今回は1台目のプリンターなので,初心者向けとされているデカルト型を選択することにしました.

※補足:RepRapについて
上記3Dプリンタの画像はRepRap Wikiというところからお借りしました.RepRapオープンソース3Dプリンタを開発するプロジェクトです.素晴らしいですね.安価な3Dプリンタは大抵RepRapのものをベースに構築されています.
RepRapの中にも様々なモデルがあります.一覧はこちら.
RepRap Machines/ja - RepRapWiki
代表的なものは,デカルト型なら「prusa」,デルタ型なら「Rostock」,「kossel」ですかね.なお,Rostockとkosselの違いは
http://blog.livedoor.jp/comodos/archives/66777020.html
様がまとめてくださっていました. 該当部分を引用させていただくと,

Rostockは、上下の板が合板でZ方向の駆動にシャフトを使用。
Kosselは、上下がアルミフレームでZ方向の駆動にレールを使用 Rostockは組み立ててから誤差に気付いても修正が不可能なのに対して、Kosselならば修正可能な点が素人工作には向いてるのだそう。

とのことです.

フィラメントについての調査

FDM(熱溶解積層)方式の3Dプリンタの場合,PLAとABSが主流.これらの特徴については正直いろんな人がまとめているので割愛します.
なお,これらを含めて3Dプリンタで用いられる素材についての解説はリコーのやつがなかなか詳しいと思います.
3Dプリンターで使用できる材料と素材の特徴~強度や精度を確認|リコー ※FDM以外の方式を対象とするフィラメントも含まれているので注意.

なお,Amazonで取り扱っているフィラメントについては
3Dプリンターのフィラメントの種類について調べてまとめた | あること・ないこと日記 様が綺麗にまとめてくださっています.

3Dプリンタの中にはPLAしか使えないものもあるみたいですが,基本的にRepRap系のやつを選ぶとABS,PLAを含めていろいろなフィラメントに対応しているみたいです.私が最終的に選んだやつも,以下のフィラメントに対応しています.
PLA, ABS,WOOD,HIPS,PVA,Nylon,poly,TPU

WOODは木粉が練りこまれているフィラメントらしいです.生成物を見るに,結構木っぽくて面白そうなのでいつか試してみたいですね.

https://fabcross.jp/news/2015/05/dmln53000000ofzi-img/0501_wood_like_001.jpg
https://fabcross.jp/news/2015/05/20150501_wood_like.htmlより

ところで,polyってのはポリ乳酸のことらしいです.
Polylactic acid - Wikipedia
つまりPLAですね.先ほどの表記は重複してるんですかね.

その他機能を選定

ここまででおおよその形は決まったので,あとはオプション機能について調べていきます.ざっと挙げると以下ですかね.

  • オートレベリング
    ベースフィールドの水平だしを自動でやってくれる.正確にはフィールドの傾きを考慮して補正をかけてくれる機能.・・・・・・だと思う.
  • ヒーティングベッド
    土台のフィールドの温度を上げてくれる機能.ABSを扱う場合は必須.PLAでもあった方が綺麗に行くことが多いらしい.
  • マルチノズル
    その名の通り複数のノズルを持つ.サポート材に別素材を使ったり,色の混じった造形などができる.curaなどのフリーのスライシングソフトでも一応対応しているらしい.
  • レジューム
    途中で造形が停止された場合に,その部分から再開できる機能.緊急時もさることながら,途中でフィラメントの色を変えることなども可能.

ほかにもいろいろとあると思います.オートレベリングとヒーティングベッドについては 3Dプリンター 選び方ガイド ⋆ 3dプリンター ・ 3dプリンター 素材 ・ オンラインショップ
様の記事を読んで,必須なんじゃないかなと思ってます.

以上を踏まえて,デカルト型でオートレベリング,ヒーティングベッド付きのそこそこ安いやつを探していると,上記モデルに行きつきました.

続きは後日レビューします.それでは.